清掃中の電話が激減。遺失物と客室異常の写真報告で、外国籍スタッフとのコミュニケーションもスムーズに

清掃中の電話が激減。遺失物と客室異常の写真報告で、外国籍スタッフとのコミュニケーションもスムーズに
導入事例

清掃中の電話が激減。遺失物と客室異常の写真報告で、外国籍スタッフとのコミュニケーションもスムーズに

宿泊部長

田中 香世子

導入前・導入後

・清掃中は、ホテルと清掃スタッフの間にて、冷蔵庫内の残置物や追加手配の確認、客室異常の報告など、双方で多くのコミュニケーションが発生していた。また、外国籍スタッフとの連携も難しく、情報伝達の正確性に課題があった
・遺失物(忘れ物)対応の負荷が膨大。当日の忘れ物登録や管理台帳の更新作業で毎日約2時間を要していた。登録作業は夕方から行うため、定時以降での残業対応になっていた
・清掃実績の計算、日報のとりまとめがすべて手作業だった。紙とExcelへの転記作業に依存しており、計算ミスや報告間違いによる差戻しが定期的に発生していた
・清掃中の電話連絡が大幅減。これまで発生していたホテルと清掃スタッフ間の電話のほとんどをJtasで完結できるようになり、ホテル・清掃会社ともにコア業務の手が止まらない現場を実現。外国籍スタッフとのコミュニケーションも円滑に
・遺失物の登録と台帳管理の業務を大幅圧縮。登録作業は写真撮影のみで完了し、ホテル側の遺失物管理業務もJtasへの登録内容と実物の確認だけで完結。90件近い忘れ物があっても、作業時間は1時間未満で処理できるようになり、従来比で作業時間を半減
・清掃実績の集計も自動化され、計算ミスや清掃内容の報告間違いがなくなった。日報が提出される時間も以前より早くなり、ホテルと清掃側の双方の業務時間削減に繋がった

インタビュー

Introduction

長崎・ハウステンボスに隣接し、バリエーション豊かな客室、レストラン、約200名収容の宴会場、大浴場まで備えるリゾートホテル——それがホテル日航ハウステンボスです。アクセスの良さと寛ぎの空間を兼ね備え、ファミリーから団体まで幅広い旅の拠点として選ばれている。

一方で現場は、清掃中の確認連絡に電話を多用していた。「冷蔵庫に残置物はないか」「客室にニオイやキズがある」といった電話が清掃側からホテルに頻繁に入り、そのたびに現場の手が止まってしまう。さらに、外国籍スタッフが多い現場では、口頭だけの伝達では十分に意図が伝わらず、誤解や二重対応が発生。

同時に、遺失物の登録・管理業務にも大きな課題が存在。年間で約15,000件発生する忘れ物をExcel台帳で管理し、登録で約2時間、加えて朝の段階で忘れ物に関する状況の台帳更新を行っており、そこでさらに時間を要していた。

また、清掃日報の作成における清掃数の集計は紙とExcelに依存。単純な足し算ミスで差戻しが発生し、ホテルと清掃責任者の負担が双方増す一方の状況だった。忘れ物と日報の対応で業後に多くの時間がとられてしまっていた。現場の「コア業務が止まる原因」を取り除くべく、複数のシステムを比較検討した結果、清掃実務に最適化されたJtas導入の決断に至った。

日中は電話対応に振り回され、夕方には事務作業で大きな負担が発生

── 清掃中は、どういった内容の電話をされていたのでしょうか?

清掃側からは報告や確認の電話が多いです。「冷蔵庫や金庫に残置物があります。」「○○に汚れやキズがあります。」「前泊者のニオイが残っています。」といった連絡があり、ホテル・清掃会社の双方で現場の手が止まりますし、ホテル側は事務所を空けられない状況でした。ホテル側から清掃側への電話は、清掃指示等の伝達やスタッフの所在確認が多かったです。お互いの手が空いている状況でないと電話で会話できないので、ホテル・清掃会社ともに何度も作業の中断を強いられ、仕事のリズムが乱されていました。

── 清掃後は、どういった状況だったのでしょうか?

清掃が終わると遺失物が各階から降りてきます。遺失物情報のExcel台帳への登録に時間がかかり、この作業だけで約2時間を要する日もありました。登録作業は清掃終了後に行われていましたので、定時を過ぎてからも多数のタスクが残っていました。

遺失物の管理に関しては、廃棄・台帳の色分け作業が毎朝あり、1時間ほど時間がかかっていたと思います。

── 清掃日報の管理は、どのようにされていましたか?

紙とエクセルで清掃実績や日報の管理をしていました。紙で実績を記録→手計算で集計→Excel転記といった工程を経ていた影響もあり、計算ミスなどのヒューマンエラーが多く、差戻し・再確認の手間が発生していました。集計作業の属人化が進み、現場の疲労感にもつながっていたと思います。

遺失物や客室異常は写真で報告、コア業務の手が止まらない清掃現場へ

── Jtas導入後、日中のコミュニケーションに変化はどの程度ありましたか?

電話連絡の多くは、携帯端末のカメラで撮影するJtasの報告機能を使ったコミュニケーションに置き換えました。ホテルはJtas上で客室の異常や遺失物をすぐに確認でき、清掃側は手を都度止めずに仕事を進められます。写真による共有オペレーションに変更したことで、外国籍スタッフとの認識ズレが大幅に減少しました。冷蔵庫の残置物や追加手配、ニオイ部屋の対処など、従来“電話が前提”だったカテゴリが、次々と「いつでも」「どこでも」「誰でも」最新の情報を確認できる、非同期コミュニケーションに切り替わりました。

── 遺失物を写真で確認できることで、お客様の対応もスムーズになったかと思います。

写真を見て遺失物の有無をすばやく判断できるため、問い合わせへの即答率が上がりました。冷蔵保管が必要な品も画像で即判断し、迅速に回収・保管できています。清掃中の電話応対業務は体感で大幅減しましたね。これまでは回答までにゲスト様にお時間をいただく場合もありました。

清掃後の業務も大幅に簡素化。日報は自動集計

── 業後の遺失物関連業務は現状どのようになっていますか?

登録自体は、清掃側にて遺失物を写真撮影したタイミングで完了しています。現在は、登録数と実際の遺失物の件数のチェックのみです。遺失物は多い時だと90件近いときもありますが、1時間未満で確認業務が終わっています。従来は“登録だけで約2時間”だったため、終業前後のタスク渋滞が解消されました。以前は翌朝に実施していた廃棄や管理業務も前倒しでき、残業の抑制即答率の向上に直結しました。

── 日報作成・集計業務はどのように改善されましたでしょうか?

清掃数・販売数の突合をほぼ自動で実施できるようになり、紙での報告→Excelへの記帳→再確認という転記ループから脱却しています。清掃の協力会社からの日報提出時間も早くなり、差戻しが圧倒的に減少しました。協力会社からも楽になったと言われていて、この点も良かったところですね。

捻出された時間は、教育や考える時間に

── Jtasを導入したことで、他に数値に表れない点での効果はありましたか?

Jtasを導入したことで教育にかける時間が捻出できています。また、客室清掃業務が簡素化され、新人の立ち上がりも以前より早くなりそうです。客室清掃業務は複雑多岐にわたりますが、Jtasにて朝の清掃前業務が簡素化されたこともあり、覚えることが少なくなりました。

もう1つ、今後活きてくる大きな点としては、考える時間が出来たことです。これまでは目の前の業務を回すことで手一杯でしたが、お客様のために考える時間も増やせると思っています。ホテルは開業してから約30年経っておりますので、ゲストの方にお部屋で快適に過ごしていただくために、やることも増えそうです。

今後の展望——“電話ゼロに近づく”全館最適へ

── 次の一手はどのようにお考えでしょうか?

やりたいことは、大きく2つあります。

1つ目はインスペクション機能の活用です。インスペクションを実施する際にJtas上のチェックリストを必ず見るように徹底し、各所のチェック漏れが無いようにしていきたいと思っています。

2つ目は、フロントスタッフへのJtas利用の拡大です。お客様から手配物や清掃に関するお問合せがあったときに、Jtasを見ればわかることも多いです。フロントスタッフにもJtasを活用してもらうことで、フロントと客室間の電話を減らすこともできますし、お客様からお問合せがあったときにも即座に回答できるようになります。

他にもEdeyansさんには期待していますので、要望を出している機能が追加されていけば、もっと客室清掃を効率的にできると考えています。

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