数週間で現場が一変。指示書作成、清掃中の電話連絡、インスペクションまでをJtasに置き換えて客室清掃を一気通貫で効率化
宿泊部 顧客サービス課
橋本香菜氏
導入前・導入後
・既存設備の仕様により、ホテル側で清掃進捗を把握することが難しく、進捗確認のための電話が多い。その他、客室の不具合報告や清掃指示に関する電話も日常的に多発していた
・インスペクション結果を紙で記録、清掃不備箇所は部屋に付箋で目印をつける形で伝達・共有しており、業務の効率性とデータの蓄積・可視化に課題がある状況だった
・清掃進捗をホテル側で細かく把握できるようになったとともに、急ぎでない指示や客室の不具合状況はJtasを通して伝達することで、電話の件数が半減
・スマートフォンを用いてインスペクションを実施し、不備は写真とコメントで記録することにより、効率的なインスペクション業務とデータ活用による改善指導が可能になった
インタビュー
Introduction
ホテルイースト21東京は、東京ディズニーリゾートや東京スカイツリー等へのアクセスに優れたシティーホテル。オークラホテルズ & リゾーツグループの国際級アーバンリゾートとして上質な滞在を提供している。
2年前から清掃システムに関心を寄せていた同ホテルでは、特に朝の清掃指示書作成の業務負担と品質に課題を抱えていた。清掃指示書の作成には1時間〜2時間ほど要しており、作成者によって指示書に記載する内容に差分が発生するなど、担当者によって業務品質にバラツキがある状況だった。
日中においては、設備上の制約により、清掃進捗を細かくインジケーターに反映させることができず、清掃進捗の確認電話が多く発生。また、追加手配の依頼、客室の不具合に関する連絡、ゲストの忘れ物対応においても電話が相当な件数発生しており、清掃作業の手が止まる原因となっていた。
インスペクション業務においては、インスペクションチェックリストを紙で運用しており、データの蓄積や分析・活用が難しい状況だった。さらには、清掃不備の発見時には、不備箇所が分かるように目印で付箋を貼り、その後に清掃チーフを呼んでいたことから、業務効率の面でも課題があった。このような背景から、客室清掃業務を抜本的に見直す目的で、Jtasの導入を決断した。
清掃前の負担、清掃中の電話連絡、紙でのインスペクション——現場を悩ませたアナログ業務の課題
──清掃指示書の作成ではどういった課題があったのでしょうか?
毎朝の清掃指示書の作成に1〜2時間を要していました。また、作成にあたっては、手書き部分も多く、作り手によって見やすさや精度にバラツキがありました。時間をかけてさらに丁寧に仕上げることもできますが、そのぶん時間がかかってしまいます。清掃指示書の作成に加えて、貸出備品リストの更新作業も負担となっていました。
── 清掃中は、電話も非常に多かったと伺っています。
清掃進捗をPMSに反映する際に、以前は、清掃終了やインスペクション完了の操作しかすることができませんでした。つまり、清掃が開始されたかどうかがインジケーターだと分からない状況です。こうした背景があり、フロントからの清掃進捗の確認電話が数多く発生していました。また、その他にも、フロントからの追加依頼、客室の不具合の対応依頼、忘れ物に関する連絡などもあり、清掃中の電話がかなり多くなっていました。
── インスペクションはしっかりとされていたようですが、苦労していたときいています。
インスペクションは、紙のチェックリストを作成し、しっかりと行っていました。もし清掃不備があれば、該当箇所に付箋をつけて、チーフを呼び、チェックしてもらうような運用です。しかし、清掃不備の発見時にチーフを呼んだとしても、チーフが忙しい場合は現場を見るのが難しいという場合もありました。また、紙中心のチェック運用だと、実績の記録・共有・集計が難しく、後日の振り返りや清掃不備の傾向も分かりませんでした。
朝の準備時間が半減、清掃実績が分かることでクリーナーアサインもしやすく
── 清掃指示書の作成時間はどのように変化しましたか?
Jtas導入後は、体感で半分くらいになっています。残っている時間は、Jtasに自動で取り込まれないゲストの付加情報をJtasに入力時間する時間ですね。これまでは、滞在中のステイ清掃の種類を指示するために、滞在期間もわざわざ調べていましたが、宿泊日数や前日の清掃内容を基に自動的に計算されるようになりました。
── クリーナーをアサインする時も楽になったときいています。
Jtasを活用するようになってから、過去の清掃記録がすぐに確認できるようになりました。クリーナーをアサインする際に、昨日とは別の人を割り当てようとか、そうした判断がしやくなりました。これまでは紙を出して調べて…という形だったので、大変でしたね。
清掃中の電話も半分に。客室の不具合は写真で報告
── 清掃中の業務連絡における変化はいかがですか?
清掃中の電話は以前の半分くらいになった印象です。Jtas導入に合わせて各フロアのリネンカートにタブレットを2台設置し、インスペクターの方にはスマートフォンを配布しました。各デバイスで清掃の開始・完了、インスペクションの開始・完了操作を行えるようになりましたので、以前に比べて清掃進捗をホテル側でより細かく把握できるようになりました。
── その他、どういったところで日中の電話が減っていますか?
まず、急ぎではない連絡は、電話をするのでなく、Jtasに入力して済ませるようにしました。清掃に入る際には、最新の指示が表示されたタブレットをみて清掃する流れになっていますので、清掃前であれば特に電話をする必要もありません。
その他にも、客室にシミや汚れなどがあった場合は、今はJtasで報告してもらっています。例えば修繕系の連絡の場合だと、どこが壊れているか口頭での説明が以前は必要でしたが、Jtasで写真を撮って送ってもらえれば状況が一目でわかります。海外のクリーナーさんも多いので、口頭での難しい説明が不要になって、非常にコミュニケーションがとりやすくなりましたね。
スマートフォンを使ったインスペクションにより、業務効率が上がり、清掃不備の傾向も明らかに
── インスペクションはスマートフォンを使って実施されていると思いますが、変化はありますか?
今はスマートフォンを使ってインスペクション業務を実施しています。Jtasにてインスペクションチェックリストを作成し、インスペクションする際はそのチェックリストに沿ってチェックをつける運用にしています。もし、不備があった場合は、手直し前の写真と手直しした後の写真を撮影しています。
以前は、清掃不備を発見したら付箋を貼ってから手直しして、チーフに確認をとるという形でしたが、写真で記録として残すことができるようになりましたので、わざわざチーフを呼ぶ必要もなくなりました。クリーナーの方には後日Jtas上で清掃不備の内容を直接お伝えしています。
── インスペクションデータが可視化されたことによるメリットはありましたか?
Jtasでインスペクションを実施すると、清掃不備の件数が項目別に自動で分析・表示されるようになっています。先月はバスルームの不備が目立ちました。お客様アンケートでも浴室のご指摘が以前からありましたので、実際になんらか問題があったのだと思いますが、Jtasを導入するまではこうした事実がお客様のアンケートからしか分かりませんでした。今後はデータを参考にしてクレームが発生する前に指導・改善することができそうです。現に、浴室周りの清掃とインスペクションはより一層注意を払うようにしています。
今後は、さらなるCSスコアの向上を目指す
── 次の一手はどのようにお考えでしょうか?
清掃指示部分でまだ少し手作業が残っています。また、スマートフォンやタブレットで清掃業務を行うようにしたのでペーパーレス化がかなり進みましたが、清掃側で紙がいくらか残っています。これからさらなる業務効率化とペーパーレス化を進めたいと考えています。
── 今後の展望や目指す姿がございましたら、教えてください。
今後は、さらなるCSスコアの向上を目指していきます。CSスコアに目標値があるのですが、目標にはまだ到達できていません。インスペクションのデータ活用に加えて、業務効率化して捻出された時間を利用して一層のCSスコア向上を図りたいと思っています。